【報告】ウガンダ・ゴリラ・トラッキング(8日間)に行ってきました!
6月26日より7名様限定のツアーでアフリカ・ウガンダに行ってきました。ウガンダはアフリカの内陸、赤道上に位置しています。国の大部分が標高1,000m~2,000m前後の高原帯となるため、アフリカの一般的なイメージである砂漠のような茶色の世界とは雰囲気が異なります。かつてイギリスの元首相ウィンストン・チャーチルはウガンダを「アフリカの真珠」と呼びました。青空のもと、赤い色をした土の上に、緑の豊かな木々が生い茂るウガンダの自然は本当に美しく、アフリカの真珠と言われる所以がわかります。現在は治安も落ち着いており、世界中からウガンダのワイルドアニマルを求めてツーリストが訪れる観光大国としての地位を着実に築きつつあります。
サファリ、ハイキング、登山などアウトドア天国のウガンダですが、世界に誇るアクティビティは「トラッキング」です。今回の旅ではゴリラとゴールデンモンキーのトラッキングを体験してきました。今までに経験してきたトレッキングやサファリとは異なる「未知の世界」との出会いでした。世界にここだけしかない唯一無二の旅、心が震えるような感動の旅、ぜひ皆さんに伝えたいと思い、報告を掲載することにしました。最後まで読んでいただけるとうれしいです。 寺井信之
マウンテンゴリラ・トラッキングとは
マウンテンゴリラはウガンダ・ルワンダ・コンゴの高原にのみ生息する絶滅危惧種の霊長類です。乱獲や自然破壊により、一時は300頭前後にまで減少し、絶滅の危機に直面しましたが、近年の懸命な保護活動により現在は1,000頭を超えるほどまで回復しています。マウンテンゴリラは、シルバーバックと呼ばれる背中が銀の毛に覆われたボスゴリラを中心に、10~15頭前後の群れを形成し、標高2,000m~3,000m前後のジャングルに生息しています。マウンテンゴリラ・トラッキングとは、ジャングルの中を歩き、野生のゴリラに会いに行くアクティビティです。一般的に考えると野生のゴリラの群れに会うことはとても困難です。マウンテンゴリラは定住しません。毎日寝床を変え、移動しながら生活をしています。また、例え見つけることができても、警戒心がとても強く、いきなり人が近づくことは不可能です。マウンテンゴリラ・トラッキングの実現には「Habituation(ハビチュエーション)」が鍵となります。日本語で表現するのは難しいですがあえて訳すとすると、「人慣れ」でしょうか。「人慣れ」をするためには2年ほどの年月がかかります。「人慣れ」は「餌付け」とは異なります。まずはゴリラの群れを見つけ出し、年月をかけゴリラに近づきます。始めは距離を置き、少しづつ距離をつめていきます。ゴリラと同じ動きをしてみたり、同じような声を出してみたり、四つ足で歩いてみたり。レンジャーは、危険を冒しながらゴリラにストレスを与えないように少しづつ「人慣れ」させていきます。やがて人が近づいても平気な環境ができあがると「人慣れ」完了です。この状態でようやくマウンテンゴリラ・トラッキングが実施できるようになります。
マウンテンゴリラ・トラッキングは各グループ8名限定となります。私たちが訪れたブウィンディ国立公園の南東部では10のゴリラファミリーのトラッキングが可能です。つまり1日に8×10の合計80名のみがゴリラ・トラッキングというゴールドパスを手にすることができるのです。 1日の流れを説明します。朝8:00にビジターセンターを訪れると自分たちがどの群れに会いに行くかが決まります。早朝にトラッカーと呼ばれるレンジャーが先乗りでジャングルに入っており、ゴリラの場所を特定したら連絡がきます。場所が遠ければ車で移動しますが、いずれもジャングルの中を1~3時間程度歩くことになります。当然ジャングルには登山道はありません。ある程度は今までのグループや、先乗りトラッカーが付けたトレースがありますが、獣道のようなトレイルになるため、時には草に掴まりながら下ったり藪漕ぎに近い状態でレンジャーとジャングルに分け入ります。
先乗りトラッカーと合流するといよいよマウンテンゴリラとの対面です。不要な荷物をひとまとめにして置き、ゴリラにウィルスなどを持ち込まないようマスクをします。ストレスなどを考慮し、一緒に過ごすことができる時間は1時間です。レンジャーの後を付いていくと最初に出会ったゴリラが下の写真です。「ほら、そこにいるよ。」と小声で案内され、目の前にゴリラが突然現れました。思わず「うわ!」と声が出ます。距離はわずか2m程度、手の届きそうな距離に野生のゴリラがかわいいベビーを抱いていました。
この初対面の感覚は生涯忘れないと思います。言葉で表現するのは難しいです。人の世界からゴリラの世界へと足を踏み入れた感覚。現実ではない漫画の世界のような感覚。ゴリラはこちらを気にも留めない様子で草を食べたり、体を掻いたりしていました。しばらくすると木の上にいたボスゴリラ(シルバーバック)がするするとおりてきました。レンジャーが「来るぞ!」と私たちに告げると目の前にシルバーバックが現れベタっと腰を下ろしました。
距離は5mほどでしょうか。盛り上がった背中と堂々とした歩き方、圧倒的な大きさ(300kg位)です。一目見れば群れを率いるボスであることが分かります。下の写真をご覧ください。
先ほど漫画のようだと書きましたが、その意味が分かるかと思います。あまりにも現実離れした光景です。ゴリラが移動すると、レンジャーとともにゴリラを追いかけます。
シルバーバックと子どもが移動を再開した時は、ゴリラが私たちの目の前(1m程度)を横切り、一部の参加者が後ずさりし、道を譲るような状況となりました。1時間という限られた時間ではありますが、かけがえのない時間をゴリラと過ごした私たちは再びジャングルを歩き、帰路につきました。レンジャー曰く、「ゴリラとの遭遇率はほぼ100%」とのことでした。彼らの知識や保護精神、トラッキングのシステムは、ワイルドアニマルの世界最高峰と言えます。
ゴールデンモンキー・トラッキング
ムガヒンガ国立公園ではゴールデンモンキー・トラッキングを楽しみました。このアクティビティも既出のHabituation(ハビチュエーション)を実施し、トラッカーが場所を突き止め、レンジャーとともにジャングルに入るというシステムです。ゴールデンモンキーはオナガザル科の霊長類で、このエリアにしか生息しない固有種です。ゴリラよりも群れの数は多く、50頭前後の群れを形成し、ジャングルの竹藪を好み生活しています。毛色の美しさから「金のマント」とも呼ばれています。今回は1時間30分ほどのトレッキングで群れに会うことができました。一緒に過ごせる時間はゴリラと同じ1時間です。ゴリラと異なり数が多いため、群れの中に入り込むと、囲まれる感覚になります。ゴールデンモンキーは威嚇してくることもなく、逃げることもなく、私たちの存在を受け入れるように竹藪を忍者のごとく飛び回っていました。触れるほどの距離でじっとこちらを見つめているゴールデンモンキーがとても印象的でした。人慣れしていなければとても群れの中に入り込むなどということは不可能です。私たちはここでも唯一無二の世界を体験することができました。
クイーンエリザベス国立公園でのサファリ
旅の最後にはクイーンエリザベス国立公園を訪れました。ウガンダで最も有名な国立公園のひとつで、エドワード湖とジョージ湖を結ぶカジンガ水路でのボートサファリでは数え切れないくらいのカバやバッファロー、アフリカゾウなどが見られました。車でのサファリもウガンダにしか生息しないウガンダコーブや、ライオンなど多くの野生動物に会うことができました。
驚いたのはアフリカゾウなどの野生動物が闊歩する場所に人々の暮らしがあったことです。バッファローやカバ、ワニが家の庭先をうろうろしている様子を想像してみてください。つくづく世界は広いなと思わせてくれます。
上の2枚の写真は複数の動物が共存しています。Habituation(人慣れ)とは、上の動物に人間が加わるイメージが近いかもしれません。動物と人間が共存すること、それがHabituation の正しい訳のような気がします。
ご参加者の声
熱帯雨林のジャングルを歩くこと1時間半。レンジャーから「ここからはカメラ以外の物は置いて、静かに歩いてください、」と言われて、すぐに目に入ったのが赤ちゃんゴリラを抱っこしたお母さんゴリラ。赤ちゃんゴリラをいたわるお母さんゴリラの優しい手付きに私は癒され、じっと見入っていました。ふと、上を見ると、高い木の上にお父さんゴリラ(シルバーバック)が。しばらくすると、するすると下りてきたけど、デカイ!体重はオスは200キロ以上になるとは聞いていましたけど、目を見張るほどの大きさです。
シルバーバックは、私たちの様子を目で追い掛けてはいるけど、余り気にしないようで、あくびをしたり、草食べたり、どっしり構えていました。そして、お母さんゴリラや子どもゴリラを引き連れて、私たちの脇を通り過ぎ、森の奥に消えて行きました。 筋骨隆々で怪力の持ち主だけど、子煩悩で仲間の面倒見がいいシルバーバックは、ジャングルの王様です。王様に会えて、嬉しかった! 静岡 小林美恵子様
なぜか動物も登山も嫌いで軟弱な私であるが、ゴリラトラッキングには行こ うと思った。それは、未知との遭遇をしたかった事と、今迄も我がツアーリーダーの連れて行ってくれる先には必ずや見たことのない景色、心弾む出来事、 おいしい食事などがあり期待を裏切らなかったからだ。
黄熱病のワクチン、マラリアの薬、防虫スプレーの大型ボトル2本の下ごし らえも整え、いよいよトラッキングに臨む。標高2000m以上にあるジャングル の中を登ったり下りたりしてゴリラのグループを探す。酸素も少し薄いので登りが辛い。日本では決して入らなかった藪の中も入らざるをえない。現地のスタッフが鎌で枝を切って作ってくれる道もある。上から下から何が出てくるか解らない中を、半べそ状態でやけくそで歩く。頭の中は(なんで私がジャング ルに?)のフレーズがぐるぐる回って、もはや発狂寸前と思われた時、ガイドが指差す先に、ゴリラのお母さんが赤ちゃんにお乳をあげながら背中をさも愛しそうにさすっている姿が目に入った。その途端全身から悪いものがすべて抜けてゆき、身も心もきれいになった・・・ような気がした。まさしく未知との遭遇 であった。 北海道 原田江里子様
ウガンダツアーの今後について
ウガンダ・ゴリラトラッキングは前述の通り8名限定という決まりがあります。そのため、ツアーリーダーを含めると7名様限定となります。ゴリラトラッキングはワイルドライフ観察の最高峰です。世界中の動物愛好家やトレッカーが限られたパーミット(許可証)を求めて事前に争奪戦を繰り広げています。山と風では今後もぜひこのゴリラトレッキングを実施したいと思っています。ぜひ行ってみたい!と思った方はご連絡ください。7名様からご希望をいただいた時点でツアーを設定し、再度実現したいと考えています。